「よっしゃー!飯ーっ!!」
「め、しだ…!!」
「なんでさっきまで寝てたのにチャイムなったとたん起きるの、二人とも…」
苦笑しながら私は田島と三橋の二人を見る。
私の横で泉が起きる気配がした。
「ふぁ…、何?飯?」
「うん…。なんでお昼になるとみんな起きるのかな…。」
泉まで…、なんて心の中で思いつつ、お弁当を鞄から取り出す。
その間に田島と三橋と浜田さんは机を私と泉の机に寄せた。
「やっと飯だなー!あ、そういやー、俺購買行かなきゃ」
「お、れも…!」
「あ、俺も購買行ってくるな!」
「いってらっしゃーい。」
購買に行く田島と三橋と浜田さんを見送る。
泉はいかないのかな、なんて思っていると。
「おー、浜田、俺の飲み物よろしく」
「なっ、泉、俺をパシリみたいに使うなよ!」
「泉、自分でいきなよー」
「めんどくせーからやだ。」
そういって事前に買っていたのだろうか、泉はコンビニの袋からパンを出した。
浜田さんは仕方なく、いつものだろ?と泉に聞いてから二人と一緒に教室から出て行った。
「ていうか、泉今日購買行かないんだ。」
「ああ、今朝学校来る前にコンビニで買っておいたからな。」
「へぇー…。」
そっか、なんていいつつも、心の中ではうれしかったりする。
泉と二人きりになれたんだもん、三人には悪いけれど、ちょっぴり幸せ。
「えへへ…」
「…なんだよ、いきなり。気持ちわりー」
「ちょっ、泉酷い!」
「ほんとのこと言っただけだろ」
「何よー!泉のバカー!」
そう言って泉を叩こうとする。
だけど、当然泉には敵わず腕を掴まれ頭に届かなかった。
「くっ…、止めるなんて卑怯!」
「卑怯も何も、手ぇ出してくるやつが言うなよ」
「うーっ、泉のアホー」
「おまえのがアホだっつーの」
「何でよー」
そういったら、泉は真剣な顔をした。
一瞬ドキッとなる。
「せっかくおまえと二人きりになるために計画してたのによ」
「い、ずみ…?」
なに、やだ、泉…、それって…。
「…ぷっ、アホ面」
「へ…?」
「ばーか、」
え、ええ…?
もしかして、嘘?
「…な…、泉ぃーっ!!!」
「なんだよ!」
泉のバカー!!
そう叫んだら、三人が戻ってきて。
いつものように騒ぎながら昼食を食べた。
だけど、少しでも泉と二人きりになれたこと、うれしかったよ。
それがたとえ、偶然だったとしても。
君と日常の幸せ
(二人きりになれたのは、)
(偶然なのか、それとも…)
(それは、彼本人しか知らない)
10.03.21 再録