放課後、どうしても彼と一緒に帰りたくて。
わがままなのはわかってるけれど、やっぱり一応つきあってる、わけだし…。
いつもHRが終わるとすぐに部活にいってしまう泉くんを隙をみて引き留める。
「あの、泉くん」
「ん?」
大きなエナメルバッグを肩に背負おうとしていた泉くんは私の声にすぐに振り向いてくれて。
ああやっぱり優しいな、だとか、かっこいいな、だとか。
いろんな感情が込み上げてくる。
でも、一番言いたいことは勇気を出して言わなきゃ…。
一呼吸おいてからゆっくりと口を開く。
「今日、一緒に帰れない、かな…?」
「あー、悪い、部活だから…」
「そ、っか、そうだよね、ごめんね」
申し訳なさそうにいう泉くんに、少し残念に思いながらも笑顔で返す。
そうだよね、部活で遅くなるし一緒に帰れないよね。
何を期待していたんだろう。
「なぁ、」
一言声かけて私も帰ろうとしたけれど、泉くんの声が聞こえたので俯いていた顔を上げて彼の方に向き直る。
「明日ならミーティングだけだから帰れるけど」
「あ、えと、じゃあ私待ってる、ね」
「おー」
気恥ずかしくなりながらも、泉くんの目をみて言葉にする。
心なしか、返事をした泉くんの顔が少し赤くなっていた。
それにつられて私も赤くなってしまった気がするけれど、部活、がんばってね、と泉くんに呟くように言うとうれしそうな声でお礼を言われたのでさらに体温が上昇した。
君の笑顔に急上昇
(また明日、と見送った後ろ姿に)
(また好きが溢れていく)
100408