それで、もう少し詳しく話を聞かせてよ。

「分かりました。」

大王に言われ、燐を見つけた時の状況を子細に説明します。

門の中でも現世側の近くにいたことや近くに誰もいなかったこと。それから親を知らないであろうことなど。

話している間、大王は頷くだけで何も言わず、いつの間にか私の側を離れ大王で遊んでいた燐も静かに膝の上に収まっています。

そして説明を終えた後、燐が落ちないように支えながら、大王は一言だけ。

「それで、鬼灯君はこの後どうするの?」

と、聞いてきました。

「どうする、とは。」
「この子、一人だったんでしょ?鬼灯君が言ってたみたいに、こんな小さな子が一人で門に来れたとは考えにくいよ。だったら連れてきた誰かがいるだろうからそいつを探さないといけないし、仮に何かの犯罪に巻き込まれている場合を考えて烏天狗警察にも言っておかないと。」

まあ…燐ちゃんの様子を見る限り、犯罪に巻き込まれた線は無さそうだけどね。でも、義経君のところには言っておかないとね。

そう大王に指摘されて、それらをすっかりと失念していたことに気付く。

そもそも燐を預かる気でいましたが、それらは義経さん達に彼女のことを知らせてから話し合わなければならないことです。
それに、仮に彼女が親に捨てられていたとしても、親戚の方がいらっしゃるかもしれない。そうなれば、彼女についてその方と話し合う必要があるでしょう。
そして大王の言うように、彼女を門へ連れてきた者がいるならば、それに対する呵責をしなければなりません。

と、一人考えていれば、そんなに眉をひそめて深刻に考え込まないでよ!?例えばの話をしただけだし、と慌てて言葉を足す大王。

「でもまあ、燐ちゃんは鬼灯君が預かって良いんじゃない?」

その方が燐ちゃんのためにも、君のためにもなると思うからさ。

そう大王は彼女の頭を優しく撫でながら笑っていました。

「だいおう?」
「ねえ燐ちゃん、ワシと鬼灯君とどっちが良い?」

その問いの意味がよく分からなかったのか、燐はしばらく首を傾げていましたが、それでも口を大きく開いて。

「ほおずき!」

と、言いました。
それを聞いた大王は私の方へ顔を向けて、ほらね、と嬉しそうにしています。

「だからさ、事態がはっきりと分かるまでは鬼灯君が一緒にいてあげなよ。」

そう言われて私はゆっくりと首を縦に振りました。


 

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