(「苺を乗せて」続編)


これほど緊張したのは何時以来だろうか。
片手には先日三成に付き合ってもらって選んだそれをしっかりと持ったのを確認して、玄関の扉を開けた。

「ただいま。」
「おかえりなさい!」

間髪を入れずに響く声と嬉しそうに綻ぶ顔。
バタバタと音が近付く前に、手中の袋を後ろ手に隠した。

「お疲れ様。外、めちゃめちゃ寒かったでしょ?」

そう伸ばされた手を、本能的に引き寄せて抱き締める。

「里香は暖かいな。」
「バッ…バカ家康っ…!!」

耳に吐息がかかるよう、ワザと言えば真っ赤に染まる里香。
そのまま身を捩って逃げようと必死な姿に自然と笑いが零れ、そっと離す。

「里香、目を閉じてくれないか。」

分かりやすく疑問符を浮かべる彼女に「大丈夫だから、ちょっとだけ。」と笑った。

「ん……。」

静かに隠していた袋を開け、彼女の首へとそれを掛けて、唇へキスを一つ。
驚きで咄嗟に目を見開いた里香が、そのまま違和感のあるであろう首元を見た。

「綺麗…。」

溜め息と共に吐き出された言葉に満足して、「サンタクロースからのプレゼントだ」なんて、普段なら言わないようなセリフを吐く。

「ありがとう!」

彼女の顔が近付いて、また離れる。
思った以上の反応で、その場から動けなくなるワシの手を取り、里香は部屋の奥へと導いていった。

聖なる夜はまだ始まったばかり、だ。



君へ贈る
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