(本編後日談) 「さて、どうしたものか…。」 「迷うくらいならば端から本人に聞けば良かっただろう。」 隣で鋭い言葉で正論を吐く三成に何も言い返せずに黙って頷く。しかし、ワシだってこれほど迷うとは思わなかったのだ。 寒さも厳しい12月のある日。ワシは嫌々と文句を並べる三成に、どうにか頼み込んで一緒に大型のショッピングモールへ来てもらっていた。 クリスマスも近い、この日の目的はただ1つ。数ヶ月前に記憶を取り戻したばかりの恋人である里香へのプレゼントを手に入れること。 「家康、早くしろ。私は早くここから立ち去りたい。」 「ははは…すまんな。」 「笑い事ではないぞ!」 ただでさえ鋭い三成の目はいつも以上に鋭い。それも無理はないことだ。 なぜなら、今ワシらがいる場所が仲睦まじいカップルばかりのとある専門店だからだ。 女性客やカップルで賑わう店の中に大の大人の男が2人。おかげで自然と他人からの注目を浴びること数時間、三成のイライラも最高潮に達している。 「しかし本当にどうしたものか…。」 あれでもないこれでもないと様々な品物を手にとって眺めていると、ふと、視界に入ったそれ。惹かれるように手に取った。 横から覗き込む三成からも、賛成の言葉をもらったそれ。 笑顔でプレゼントかと尋ねてくる店員に、ワシも笑顔で頷いた。 「宛名に“里香”と頼む。」 苺を乗せて [Back] |