あのね、いくら神獣の僕だって完璧じゃないんだよ。ほんのちょっとの油断で薬の調合を失敗することだってあるし、何かにつまづいて転ぶことだってある。
今だってほら。大好きな君を前にして、何を話せばいいのか分からなくて頭を抱えてる僕がいる。

「白澤さんのお話は本当、面白いです。」

そう言って笑ってくれる君がいるから、何とか話を続けようとしているだけで。口を動かすことに必死で、頭の中なんて真っ白なんだ。
そんな僕を知ったらきっと君は幻滅するんじゃないかなあ。
たった一つの心配事は、不安となって心の中に常に巣食ってるんだ。

それでも。
やっぱり君といるのが楽しくて。
笑ってくれる君を見るのが好きで。
君の隣にずっといたくて。
今まで何千年とかけて頭に入れてきた知識をフル活用して君に物語りをする。

「白澤さん。」

そう鈴が鳴るような、綺麗な響きを持って僕を呼んでくれる君の名前を。

「名前ちゃん。」

ああ、声は震えてないかな。
ちゃんと笑えてるかな。
臆病な僕をなるべく出さないように。

今日も、呼ぶんだ。



僕の世界の君は


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