「鬼灯様。」
「なんですか。」
「ううん、呼んでみただけです。」

そう言えば鬼灯様は小さく息を一つ吐いて。

「もう寝なさい。明日も仕事でしょう。」

小さな子どもをあやすみたいに、ぽんぽんと軽く頭を撫でてくれる。
でも眠くない私は首を振って、鬼灯様の方へと体を寄せた。

「全く…名前は幼子のようですね。」

子守歌でも歌ってさしあげましょうか。

そんなからかうような鬼灯様の口調も、どこかふわふわとした暖かさを感じる。

「鬼灯様、暖かい。」
「そうですか。」

そうですよ。

なんて言葉の掛け合いをしてみたり。

「名前、もう寝ましょう。明日起きるのが辛くなりますよ。」
「じゃあ、一つだけ。」

我が儘聞いてくれますか。そうしたら寝ますから。

そんな提案をしてみれば、鬼灯様はいいですよと頷いてくれた。

「私が寝るまで、手を繋いでいてくれますか…?」

私より身長の高い鬼灯様を見上げるようにして聞いてみると、鬼灯様はそんなことですか、と口を僅かに緩めて。

「初めからそのつもりでしたよ。」

そう言って額に唇を落としてきた。


音のない子守歌


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