地獄の花街近くにある、とある甘味処。今日はお仕事が休みだったので同じく休みだったお香ちゃんとデートと称してやってきていた。 「ここのあんみつはお勧めです。」 と、顔に似合わず甘味を食す閻魔大王の補佐官な上司の言葉通り、本当にどれも美味しくて。あんみつやお団子に加えてケーキなんて洋風のものまで揃っていて、2人でお互いに頼んだものを交換して食べ合いっこしたり、半分こしようとまた新しいものを頼んでみたり。 あれこれ楽しんでいると、「草団子ください」と、芥子ちゃんがやってきた。 「私もこのお店好きですよー。」 のんびりできて、お水も美味しいですから。 なんて言う芥子ちゃんはどうやらお仕事が早く終わったのでここに来てみたそう。そんな芥子ちゃんに「一緒に食べよう」と誘って、注文していたケーキを分けて、みんなで美味しいねーなんて言っていたら、こんにちはーと聞き覚えのある声が。 「あれ、名前ちゃん?」 「マキちゃんー!」 久しぶりだねー!と盛り上がったのは小学校からのお友達のマキちゃんだった。最近お仕事忙しそうなのにって言ったら、今日はたまたまオフだったらしく、甘いものを食べに来たそう。 こうして女の子が4人も集まれば、必然的に始まるのがガールズトーク。 最近のお互いの話をしていたら、あっという間にその話題に。 「最近鬼灯様がテレビに出演なさることが増えたわよねぇ。マキちゃんなんてよく一緒に出演されてるけれど、どうかしら?」 「いえいえいえ!!あの方は…はい…畏れ多いというか何というか…。」 お香ちゃんの恋愛絡みの質問に、マキちゃんは顔を真っ青にして答えてて。 確かに鬼灯さまは厳しいですもんね。 あのくらい厳しい方だからこそ閻魔大王の優しさが見えるんだと思う。 なんて芥子ちゃんと各々好きなことを言う。 すると、そのまま私の方にも質問が飛んできて。 「名前ちゃんは誰かいないの?好い人。」 今は私達だけなんだから言っちゃおうとマキちゃんに言われた途端、思い浮かんだのはあの人のこと。ああ、体が熱くなってきた。 「名前ちゃん顔真っ赤!」 「おや、どなたかいらっしゃるんですね。」 分かりやすいわぁ、と言われてしまえば言い逃れはできなくて。 白状なさい、とマキちゃんに言われて小さな声で「…白澤さま…」と呟いた。 途端、お香ちゃんは「あら」とにっこりと笑って、聞いた張本人のマキちゃんは「えーっ!?」と大きな声で驚かれる。そして芥子ちゃんには「あの人はやめた方がいいですよ」と言われて。 「だって…あの方、女の子みんなに優しいじゃない。でもこの間、私が鬼灯さまのお遣いで天国に行った時に私の不注意で怪我しそうになったの。その時に凄い剣幕で「大事な名前ちゃんの体に傷が残ったらどうするの!」ってすごく怒られて…」 「それが印象に残って、好きーってなったのかしら?」 と、続けたお香ちゃんの言葉に頷いた。 すると芥子ちゃんは「あの方の女癖の悪さは凄まじいですよ?毎日違うメスの匂いしますよ?本当に良いんですか?」なんて可愛い顔を近付けて念を押してきて。 「そうなんだけど…っ!でもどうしてか…す、好き…なんだよ…。」 と、しどろもどろになってしまう。 そんな私を見たお香ちゃんとマキちゃんは「確かに女の子みんなに優しいけど、この名前ちゃんの様子を知ったらきっと名前ちゃんだけを見てくれるようになると思うわ」なんて嬉しいことを言ってくれて。 芥子ちゃんも「…おすすめはしませんが、名前さんが幸せなら応援します」いざとなったら私が櫂を振り回しますから呼んでくださいと、頼もしい言葉をもらった。 「そうと決まれば早速作戦会議よ!」 お香ちゃんとのデートだったのが、いつの間にか私の恋愛相談室になっていたガールズトーク。でも、たまにはこういうのもいいかもしれないとああでもないこうでもないと一緒に真剣に考えてくれる友達に心の中で「ありがとう」と言った。 [Back] |