『言葉に出来ない臆病者』続編


私が彼に恋をしたのは今からちょうど1年前でした。

彼を一目見た途端体の中に電流が走り、息も詰まるくらいの衝撃が脳内を支配しました。
それを同じ学校の従兄弟の長曾我部元親に──チカに相談したら、彼はこう言ったのです。

「名前、そりゃあ一目惚れじゃねぇか?」

それから私は彼を意識せずにはいられませんでした。
彼が私に優しくしてくれる度に、胸がドキドキでいっぱいになり、顔が火照るのを感じました。

でも、それに気付いた頃には私にも友達がたくさんできて、それに甘んじた私は彼とあまり会話をしなくなりました。
彼とクラスが離れてしまった今では、本当に後悔しています。

そんな時にあったあの出来事はきっと神様が私にくれたチャンスだったのでしょう。

彼とクラスが離れて落ち込んでいた私にチカがジュースを奢ってくれると言うので、私達は2人で自販機に行きました。
すると、チカが急に手を振ります。

「よぉ、政宗。これから部活か?」
「Ah…長曾我部か。いや、今日は無いぜ。」

何と自販機の側に伊達君がいたのです。

私はびっくりしてどうしようかとチカを見上げました。
チカは笑って「これってチャンスだろ?自分に素直になってみろよ」と彼に聞こえないようにそっと耳打ちするだけ。

私はどうすればいいのか分からずに、顔を赤くしたり青くしたり。
すると、誰かが吹き出す音が聞こえました。
音の方を見ると、口元を押さえて笑いを堪える彼がいました。

「伊達君…?」
「お前、何1人で百面相してんだよ。」

そう言って笑う彼。それにつられて自然と私も笑顔になりました。
ひとしきり笑った後、彼は真剣な瞳で私を見据えました。
どうしたのだろうと疑問に思いつつも、私も緩んだ口元を引き締めます。
そして彼は私に言いました。

「名前、オレはお前が好きだ。」

と。この時の嬉しさといえば、この世の全ての言葉を駆使しても言い表せられないくらいでした。


───これが今、白いタキシードに身を包み、ウェディングドレスを着た私の隣に立っている彼、伊達政宗との馴れ初めです。


広がる世界は眩しくて


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