『春風に誘われて』続編


オレが彼女に恋をして1年が過ぎた。でも、彼女との関係は1年が過ぎた今でも変わらずに『クラスメート』のままだった。

「Shit…3-Bか。名前は…いねぇな…。」

クラス替えの表が貼られた掲示板を見たオレは、至極ガッカリした。

去年彼女と隣の席になれたのは、彼女が転校してきたばかりのあの時1回だけ。
更に言えばオレが彼女のサポート役をできたのも最初の3日間だけだ。
すぐにクラスに馴染んだ彼女に女友達が出来たのと、話すきっかけを掴めなかったのが重なって席替えをしたらそれっきり彼女とは話をしなかった。

「Phew……。最後のchanceだったのにな…。」

オレは味方してくれなかった神を恨みつつ、くるりと踵を返して掲示板を後にした。

それから始業式があったり、新しいクラスの連中としゃべったり。
それでもオレの気持ちが晴れることは無かった。
放課後になってもどこか落ち着かない気持ちを何とかしようと、自販機で適当にジュースを買い一口飲む。

彼女とクラスが離れてしまったのは仕方ない。
頭の中では分かっている。

それでもオレは…たぶん、嫉妬しているのだろう。
彼女が笑顔を向ける全ての人に。
彼女がオレ以外の奴にその笑顔を向けているのを想像するだけで、オレの心にはどす黒い何かが現れる。

「…気持ち悪ぃ……。」

そこまで考えて自分自身が気持ち悪くなった。

名前はオレの彼女ではない。この気持ちはオレ1人の一方的な勝手なもの。

それでも嫉妬してしまう自分が、ここまで女々しいとは思わなかった。


言葉に出来ない臆病者


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