高2の春、オレは初めて恋をした。 でも彼女はオレの方など見向きもしてなくて。 それがオレは悔しくて、どうしたら彼女が向いてくれるか必死に考えてばかりいた。 「苗字名前です。よろしくお願いします。」 漆黒の長い髪を垂らし、そう名乗った彼女はとても綺麗で。視界に彼女を捉えた瞬間、ドクリと大きく胸が鳴った。 教師の話なんて右から左へ流れていく。 だから、次に教師の言った言葉の意味を理解するのに少しばかり時間が掛かった。 「じゃあ、苗字の席だが…伊達の隣が空いているな。苗字、伊達の隣に座ってくれ。」 はいと返事をし、彼女がコッチへ歩いてくる。 彼女が一歩踏み出す毎にオレの心臓はバクバクと音を立てる。 「Hey.苗字名前っつたな。オレは伊達政宗。よろしくな、名前。」 オレは平常心を心掛けて彼女に声を掛けた。 「よろしくお願いします。伊達君。」 そう微笑んだ彼女の顔がとても綺麗で、オレの顔は多分赤くなっていた。自分でも熱いのが分かる位だったからな。 でも、それを隣に座る彼女には絶対に悟られたくなくて、オレは窓の外を見る。 眼下に広がる校庭には、春風が吹いていた。 春風に誘われて [Back] |