「ほら政宗。」 何かあったらすぐに飛んで来て、オレの手を引いてくれた。 「男の子でしょ。そんな泣かないの。」 せっかくの綺麗な顔が台無し、なんて笑うお前の方が何倍も綺麗だってずっと言ってやりたくて。 「政宗。」 そう呼ばれるのが嬉しくて。 でも。 あいつは。 名前は。 「政宗、学校終わったの?」 「ああ…誰だそいつ。」 「んー?」 私の彼氏、ってどこの誰とも知らない野郎の隣で嬉しそうに笑ってたんだ。 オレがあと5年早く生まれていれば。 名前があと5年遅く生まれていれば。 どんなに嘆いたって埋まることのない、絶対的な時間の差は大きくて。 セーラー服のスカートをはためかせるあいつを見ながら、オレは自分の背負ってるランドセルを恨んだ。 お隣のお姉さん [Back] |