「私が氷だったらなぁ。」

こいつが突拍子も無いことを言うのは今に始まったことじゃないが、今回はまた訳が分からない。

首を傾げて考えてる俺を見て名前は笑って言った。

「氷は、溶けるでしょ。」

だから、溶けて水になって。そうして政宗とひとつになるの。

くすくすと笑う彼女の頭を撫でながら。

「でもお前が氷なんてモンだったら、俺に会う前にさっさと溶けちまうだろ。」

それに、人という生き物だからこそ俺はお前と出会うことが出来たし、愛することも出来た。
それは血が通った生き物じゃなけりゃできなかったことだろう。

「それもそうか。」

忘れていたと驚いたような表情を浮かべる彼女はでも、と前置いて。

「でも、こうすればひとつになった気分になれる。」

そう言って俺に抱きついてきた。


融解


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