もうすぐ今年の夏も終わる。長いようで短かった、私の夏。
花火をしたり、お祭りに行ったり。遊園地やカラオケに行ったりもした。
そのどれもが大切な思い出で、その側にはいつも慶次がいた。

「けーじ。」
「何だい?」

慶次の肩にもたれ掛かる私をその大きな手で甘やかしながら、彼は聞いてきた。

「ううん、呼んでみただけ。」

なんでもないよ、と手を振って。彼も咎めるようなこともなく、同じ仕草を続ける。
長い間、友達の枠から越えられなかった私達の関係を越えてくれた彼と過ごした、今までとはひと味違った今年の夏。生きてきた中で一番思い出が詰まった夏かもしれない。

「名前。」

なあに?と首を傾げれば、首の後ろからカチャリと音がして、ほんの少し冷たい感触を味わえば、胸元に綺麗な貝殻のペンダントが光る。

「ずっと一緒にいような。」

大学行っても、大人になっても。
そうやって笑う彼の笑顔は、夏の太陽みたいに煌めいていた。


背中合わせて


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