「最近は10歳も20歳も離れている夫婦も成立しているでしょ?所謂、年の差婚ってやつ。だから、私にも十分チャンスがあるかな…?って……。」

これで何度目かも分からない、相談事を名前から聞いて。でも、それも今日で終いだ。

「小十郎のことか。」

たった一言。こいつの想い人であり、オレの大事な右腕の名前を告げる。そうすれば案の定、顔を真っ赤にさせて慌てだした。

「えっ!?何で知って……!?」
「見てりゃ分かる。」

お前のことが好きで、好きで、ずっと見ていたから。でも、お前にとってオレは親しい友人の一人に過ぎない。だから、悟られないように、自分の気持ちを微塵も出さないように気を使いながら、ゆっくりと話す。

「……そんなに分かりやすい…?」
「あぁ。ま、本人が気付いているかは知らねぇがな。」

まるでお前がオレの気持ちに気付いていないのと同じだ、と思いながら。

「どうしよう…!?ねぇ政宗、私、どうすればいい?」

でもオレは、好きで好きで仕方がないお前の相手が小十郎だから応援できるんだ。

「一つ、小十郎にattackする。二つ、諦める。妥当に考えてこの二択だな。」

ほら、こうして解答の分かりきった問題を出してやる。お前は時々突拍子も無いやつだが、決して馬鹿ではない。そんなお前なら簡単に解けるだろ…?

「え…と……。」

それでも戸惑うお前に、最後のオレからの贈り物。

「Hey,小十郎。」
「何でしょうか?」

案の定、扉の向こうから声がする。小十郎のことだ。ずっとオレ達の話を聞いていたんだろ?

「どうせ話は聞いてたんだろ?迎えに行ってやれよ。」

そう言って部屋から出て、扉を後ろ手に閉める。きっと中では顔を真っ赤にさせたあいつがお前のことを待ってるさ。

「…政宗様っ……!」

驚いた表情の小十郎に手を振って。あいつに聞かせるつもりで、結局は自分に言い聞かせる為の言葉を1つ。

「じゃあな。」

長かったオレの片思いもこれで終わりだ。でも、心残りは無いし後悔も無い。
ただ、大好きな2人が一緒に幸せになってくれればそれだけでオレも幸せを味わえるんだ。


キューピットはわらう


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