「ゆーとー!」
「ん?どしたー?」
「指切ったあー」
子供のように泣きじゃくる彼女が突き出した指からは赤い玉がぷつりと出ていて痛そうだ。
「もーなにやってんの、ほらおいで」
「うええ…」
なるべく優しく手を引いてソファに座らせると救急箱から消毒液と絆創膏を出して傷口を消毒する。
「いたいー!」
「もう少しだから我慢して」
これでよし、ときつすぎないように絆創膏を貼ると彼女は涙をごしごしと拭い勇人ー!と抱きついてきた。
いつものことで慣れた俺は背中に手を回してぽんぽんとさすってやる。
「ゆーとすきー」
「俺も好きだよ」
さきの好きはきっと幼なじみでずっとそばにいた俺を兄のように慕っていると言う意味なんだろうけど、俺は一人の女の子として好きだよなんていえるはずもなく気持ちよさそうに体を預ける彼女の髪を撫でながら今日も俺の片思いは続くのだ。