「先立つ不幸をお許しください」


机の上に置かれた千切られたメモ用紙に書かれた変なキャラクターに意味の分からない一言。


昨日の今日俺だってどんな顔をして竹本に会えばいいかそれなりに悩んできたつもりだ、なのに。


「ふ、ざけてんのかこいつは…!」


ぐしゃ、と手の中のメモ用紙を握りつぶす俺に花井が青ざめた顔をして何かあったのかと聞いてきたけれどそれは俺の振り向いた顔を見ただけで終わった。


「阿部の顔こえぇー…」
「何かあったのかな?俺聞いてこようかなあ」
「水谷お前だけは間違っても阿部の視界にはいるな」
「えぇ!?なんで!」


後ろでごちゃごちゃ喋ってるクソレフトに花井が正解を教える。
良い判断だ、今お前がその脳天気な顔で話しかけてきたら俺の機嫌は益々悪くなるだろう。

とりあえずだ、竹本はどこに行ったのか、そしてこの言葉とふざけたキャラクターの意味を問いただしたい。
俺はバックを乱暴に机の上に放り投げると教室を飛び出した。

 
「よう阿部ー!どーかしたのかー?顔すげーこえーぞ!」
「田島…竹本見なかったか」
「あー竹本なら栄口むぐっ!」
「バカお前何喋ってんだよ!口止めされてただろ!」
 

思い出したように喋る田島の口を泉が慌てて押さえる。
けれどもうそれは意味のない行為だった訳で栄口という単語で竹本が栄口の元へ向かった事は明確だった。


「ほう…栄口んとこいったのか…」
「あー…いや…あいつすごい思い詰めた顔してたし…あんまいじめんなよ?」


最初こそ言葉を濁していたものの観念したように泉は今朝竹本が栄口と一緒にいた事。話しかけた竹本がいつもらしくないほど元気がなかった事を教えてくれた。
けれどそんな顔をしたあいつがどうしてこんなふざけたメモを残していったのか、さっきよりは冷静にはなったものの納得のいかない俺は泉に軽く礼を言うととりあえず栄口のいるだろう1組へ向かった。



空回る思い
(あいつら大丈夫か…?)
(んーわかんねーけどとりあえず泉腹減ったー!)
(お前ホント空気読めねえな!)




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