暑い。
うだるほどの暑さ。
こんなに暑いのに今日も田島は元気。
汗がキラキラして見える人ってほんとにいたんだ。
グラウンドのベンチでぱたぱたとうちわを扇いでるあたしとは大違い。

「なあ!」
「んー?」

暑さのせいで反応まで適当。
そんなあたしを見た田島は何かとても良いことを思いついたかのようにどこかへ走っていった。

なーんか嫌な予感。

帰ってきた田島を見ると手にはホース。
まさかまさか。

「これで涼しくなんぞ!」

にっと田島がこちらにホースを向けた瞬間即座にベンチを離れたあたし。
バシャッと音と共に少しの水飛沫がかかる。
座っていた先はびしょびしょに濡れていた。

「たっじまあんた加減考えなさいよ!」
「分かった!今度は失敗しない!ゲンミツに!」


野球以外であんたのゲンミツが良い方向に向いたことなんてあったかしら。

「もういいからホースよこしなさい!」

被害が拡大しないうちにホースを奪い取ろうとするあたしをひょいとかわして笑う田島。
そんな笑ってる余裕なくしてやる!!

「あー!あっちで泉がアイス食べてるー!」

少し大袈裟に向こうを見て言うと単純な田島はすぐひっかかる。
マジで!?と振り向いた瞬間にホースを掴んだ。

「あっ!離せ!泉なんていなかったぞ!」
「騙される方が悪いのよ!」

ぐぎぎ、とホースの引っ張りあいをしていると突然田島がにやりと笑ってホースを放した。

「きゃあ!」

思い切り引っ張っていたからホースはあたしに向かって思い切り水を噴く。
頭から水を被ったあたしは制服もろともびしょ濡れで。

「今日の下着は水色かー!」
「!?」

はっとして見ると制服が肌にべったりと張り付いていて下着どころか体のラインまではっきりみえている。
これが狙いだったのか…!!

「たじ…」
「おーい田島ー!しのーかがみんなのドリンク作ってくれたぞー!そっちでサボってるマネジも連れてこい!」

向こうで花井が呼んでいる。別にサボってた訳じゃないのに!とむっとしているとバサッとタオルがかけられ体が宙に浮く。

「えっ!たじま」
「わりー!なんかこいつ具合悪いみたいだから俺保健室に運んでくる!」

は?
田島を見ると少し頬が火照って見えるのは気のせいだろうか。
そうか、落っことすなよと花井がみんなの所へ戻った後田島はあたしを見てにっと笑った。


「お前の濡れた姿見たらこーふんした!」
「まさか」


その先を紡ごうとした口は田島によって塞がれ呆気にとられるあたしに田島は続きは保健室でな!とあたしを抱えたまま走り出した。


確信犯
(おっしゃ保健室誰もいねー!)
(この狼!)
(いただきまーす!)
(ひゃああ!)



⌒⌒⌒⌒
120717
田島のしゃべり方が…なぞorz