彦星と織り姫は今日無事にあえたかな?
ベランダからてるてるぼーずを吊して空を見上げているとふわっとしたシャンプーの匂いがわたしを包み込んだ。
いつもの、わたしの大好きな匂い。
「なあにしてるの?」
「彦星と織り姫あえたかなーって」
ぎゅう、と抱きしめながら肩に顎を乗っけてふみきも空を見上げふーんと呟く。
まだ少し湿った髪の毛が首にくすぐったい。
「今年なんてお願いしようかなあ」
「んー、わたしはもう決まってるよ」
毎年同じお願いなんだけどね、と心の中で呟きながらふみきは?と尋ねると予想外にも彼は眉間に皺を寄せてうーんと唸っていた。
「今年はねえ、俺迷ってるんだ」
「あら珍しい」
「うーん…」
わたしより先に今年もなまえと一緒にいられますよーにって短冊に書いて見せるくらいなのに。
「よし、決めた!なまえに決めてもらおー!」
「それって決めてないじゃない」
「いーの!じゃあいくよ?」
ぱっと腕を離したかと思ったら両手を背中に隠して右と左どっち!と聞いてきた。
「え、うーんと…じゃあ左」
「ええ!?左なの?」
しょぼんとするふみきにじゃあ右にするっていたらじゃあって何ー!!っと怒られてしまう、けどもじゃあどうしろと。
「それさ、もうふみきの中で答え決まってるんじゃない?」
「どっちもほしいんだよおー」
「わがままー」
「いいの!俺なまえに関してはわがままだから!」
なにそれって笑うとふみきは決心したようによし、と頷くと短冊を取り出しさらさらと何かを書くと適当なTシャツを着て出かける準備をしだした。
「決まったの?」
「うん、俺わがままだからどっちもお願いすることにした!」
いこ!と手を差し出したふみきの願い事が気になったけれどどうせ後で見れるんだから、とわたしはその手を握り返すことにした。
星に願いを
(なまえがお嫁さんになってずーっと俺と一緒にいてくれますように!)
⌒⌒⌒⌒
七夕ですね、すっかり忘れてました