大好きな大好きな君へ、あたしの隣の席の君はいつも授業中寝てるよね。
お昼は野球部の田島くんと三橋くんと楽しそうにお弁当食べてる。
混ざりたいなって、内心ひそかに思ったことは秘密だよ?
放課後はグラウンドでバット振ってる姿を見るのが好き。
夜練習が終わって暗くなったら、皆で自転車に乗ってコンビニなんかに寄ったりして、楽しいよね。
そして帰り道、あたしは君の背中にぴったりと頭を寄せて温もりを感じるんだ。

ねえ、これってすごく幸せなことだよね。

玄関で照れる君の頬にさよならのキスをして、また明日。

これがあたしと君の日常。

そして今日もまた


「んじゃ、帰っか」
「ん、」


部室から出て来きた君に返事をして歩き出す。


「今日は皆と帰らないの?」
「まーな、てか毎日一緒になんか帰るかよ」


ちょっと不機嫌そうな顔の君に疑問を抱きながらも歩く速度は緩めずに。
そのまま自転車置場に行くのかと思ったら、校門へ一直線。
あれれ?今日はいつもと全然違う。


「自転車もなし?」
「ん、」

短く返事をして歩く君にあたしは疑問が強くなるばかり。

なんでいつもと違うの?

そう思った矢先、指先に温もりを感じた。

こーすけの手、だ。

思わず顔を向けるあたしに君は前を向いたまま


「たまにはふたりきりで帰りたかったんだよ」


自転車だと早く着いちまうし、と付け足す君の耳が真っ赤な事にあたしの胸はあったかくなった。


そっか、うん、いつも通りの楽しい日々も良いけど


「こーすけ、」
「ん?」
「手、あったかいね」


こうやって君とふたりだけで過ごす日はもっと素敵。



繋いだ手は温かくて
(お前のがあったけーよ)



⌒⌒⌒
120730