何の前置きもなく回された腕に、あたしは思わず立ち尽くした。横にだらんとぶらさがった腕にはコンビニの袋が握られている。
これは、一体どう反応すれば良いのか、いや、そんな事より今のあたしは思考停止状態。だって、誰がこんな事予想出来ただろう。帰り道勇人に会って、たわいない話をしながら家路を辿っていただけなのに、急にぎゅうっと後ろから抱きしめられて、ホント、何が何だか。
それに普段の勇人ならこんな事しないし、キャラじゃないってゆーか、だからえーと、いきなりの事でびっくり。

「勇人?」

このまんまの状態も恥ずかしいから苦しまぐれに呟くと、返事の代わりにさらに抱きしめられて、あたしの顔はどんどん熱くなっていく。

「今日さ、俺ん家来ない?」
「え?」

今日?ポツリと呟いた勇人にあたしはハテナを浮かべる。何でいきなり!しかもこんな夜遅くに!状況を理解した途端に再び熱くなる自分の顔に、あたしは下を向いて俯いた。


「勇人、今日何か変だよ」
「そうかな」


後ろでふふって笑う勇人の息が肩にかかってそれがあたしの体に電気を走らせた用に回って思わずぞくっとしてしまった。


「好き」
「っ!」
「そんな気持ちが溢れてさ、思わず抱きしめちゃった」


そんな、悪びれもなく言うけど、知ってる?その言葉があたしをどれだけ幸せにするのか。
ゆっくりと振り返ると、今度はあたしが勇人をぎゅう、と抱きしめた。



つまりは君が好きってこと
(こーゆー愛の示し方もありよね)


⌒⌒⌒
120730