じめじめとした暑さの中、わたしは教室でだらーんと机に突っ伏してある一点を見つめている。
巣山くんと楽しそうに何か(多分野球の話だろう)を話している栄口くん。あの爽やかな笑顔を見ているだけでわたしのこの暑さは熱へと変わってしまうの、なーんて、ね。
くるりと頭を捻って空を見上げる。
今日も曇天、雨が降りそうな天気だわ。
わたし傘持ってきてないのになー、てか降水確率70%なのになんで持ってこないんだろう実はわたしって案外バカなんじゃないだろうかと思い始めた時、ひやりとした感覚にびくりと体を起こすとにこやかな栄口くんの笑顔が目に入った。
「え、わ、何?」
「いやー、だるそうな顔してるなって思ったから」
差し入れ、と目の前に出されたのはスポーツドリンク。
ああ、確か運動系ってこうゆうのが一般的なんだっけ、ありがとうと受け取ってふたをあけるとまじまじと栄口くんがこちらを見ている。
いや、あんまり見られてると飲みづらいんだけど…
「何?」
「あ、いや、何でもないよ!」
あわあわと目を反らす彼はどうみたって怪しいんだけどな…と思いつつ口をつける。
「お、栄口ついにやったか」
「え?」
「す、巣山!」
何が?と首を捻れば巣山くんはわたしの持っているスポーツドリンクを指差してそれからその指は栄口くんへと…。
「それ、栄口の飲みかけ」
「わーっ!言うなって!!」
にやにやしながら笑う巣山くんとは反対に真っ赤になって何やら弁解している栄口くん。
わたしの頭は思考停止。
ていうか…
「あ、あの、これは別に…その…やましい気持ちがあったとかじゃなくて…」
「栄口くん」
「はい!」
「…可愛いすぎるよ!!」
ドラマティック・ベーチェット
(へ、え!?)
(わたしの目には貴方しか写らないのに!)
⌒⌒⌒
120730