境界線 | ナノ



俺は眞の話を終わらせるべく文化祭の話を持ち出した。話を変えたのは、眞をおもって白井さんの話をしているとしても俺には他の女の話なんてしていたくなかった。

だから俺は、今度やる文化祭の肝試しの話に変えた。肝試しとは来週行われる文化祭のメインイベントで毎年行われている。この学校には今は使われなくなった旧校舎が隅の方にあり、そこが会場となっている。肝試しといってもなかなかリアルで本当に霊を見たという人達もいた。このイベントは代々三年生だけが参加でき、かなりの盛り上がりを見せていた。参加出来るというよりも強制参加であるが。

そんなイベントであるがゆえにこの肝試しを通じて彼女を作ったりする男達が多く、次の日には多くのカップルが誕生する。

だから眞がこの三年に一度のイベントで俺を誘うなんて心底驚いていた。

「そ、そうか」

「よし、じゃあ決まりね! あ、文化祭も一緒にまわるからな」

眞はいつでも俺に優しい。でもそれは幼馴染みだから。今だって俺が文化祭で一人にならないように配慮してくれているんだろう。

「あ、ああ」

けど、その優しさが俺には辛い……。

男とかもう関係ない。俺はおまえが好きだ。どうしたらこの境界線を超えられる。

好きだよ……眞…。

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