prologue
*
「よっ!」
朝、学校についてすぐ一番に挨拶してくるのは彼の親友であり幼馴染みでもある明智 眞。
「はよ。どうしたんだおまえ。いつもよりテンションたけぇな。元々鬱陶しいくらいうるせぇけどよ」
「あ、ひでぇ。橙真は俺に対してもっと優しくなったほうがいい」
橙真と呼ばれたこの男は五十嵐 橙真。眞の親友であり幼馴染みでもある。橙真は表情を変えずに一度だけ眞に目を向け再び口を開く。
「十分すぎるほど優しいだろ。んなことよりなんかあったのか?」
「んなことってそんなんですまされちゃうの!? しくしく」
よよっと泣き崩れた真似をしてしくしくと声に出して騒ぐ眞に、橙真は冷たい視線を送った。
「ま、どうでもいいか」
どうでもいいと、話をそこで終わらせようとした橙真に眞は慌てて口を開く。
「ちょ、ちょっとまってよ聞いてよ俺の話。もう遊んだりしないから」
「なんだ」
再び聞く気になってくれた幼馴染みに眞は安心し、真面目な顔でこう切り出した。
「実は俺、好きな子が出来たんだ」
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