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「え!? えと、僕がですか?」
委員長さんの口から出た突拍子もない話に僕は大袈裟に驚いてしまった。
「ああ。風紀委員は嫌か?」
きっと委員長さんは僕が生徒会の役員に色々されてるのを知ってて心配してくれてるんだろうな。
「いえ。あの、風紀委員は嫌ではないんです。けど、僕なんかが風紀委員になるなんて……。僕は喧嘩も出来ないし皆さんみたいにかっこよくも強くもないから」
多分僕なんかが風紀委員になったら制裁はなくなるだろうけど周りの人は許さないだろうな。
「なんだ、そんなことか。……良かった。じゃあ、風紀委員が嫌いなわけではないんだな?」
「は、はい! あたりまえです」
「じゃあ、水下君の風紀委員入りは決定だね」
え? 副委員長さん?
「そうだねー」
牧瀬先輩まで……。
「え。で、でも……」
「実はね。水下君が風紀委員に入ることは元々決まってたんだ」
「え?」
「もう修也から聞いてると思うけど水下君の話はずっと風紀の間であがってたんだ。けど、恥ずかしながら風紀は人員不足でね。それで水下君のことまで手を回せなくて。本当にごめんね」
風紀の間で僕のことがあげられてたなんて。それなのに僕は勝手に……。
「そんな。副委員長さんが謝ることじゃないです」
「こんなに時間がかかってしまったのは俺の責任だ。すまない。俺の力不足だ」
委員長さんまで……。委員長さん達は謝るようなことしてないのに。それどころか僕が感謝する側なのに。
「委員長さんも副委員長さんも謝らないで下さい。お二人は謝るようなことしてません。僕は逆に感謝してますから。僕は今まで、勝手に助けてくれる人なんていないと思ってました。勝手に諦めてたんです。だから、ごめんなさい。それと……」
ちゃんと二人に伝わりますように。
「ありがとうございます」
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