そろそろ…… | ナノ



「筑摩、お疲れ様。今まで辛い思いをさせた。やっと準備が揃ったよ」

だって、彼は俺の恋人だから。

「あーー!!緑じゃんか!!なんで、こんなとこいんだよ。それに、こっちこいよ!なんで、そっちにいんだよ!!」

うるっさいなー。ほら、緑の顔がうるさいってすごい顔になってるじゃん。まぁ、そんな顔もかっこいいけど。

「うるさいですよ。食堂は食事を楽しむ場です。それに、なぜ私があなたのほうに行かなきゃいけないんですか?私は筑摩の隣りがいいんです」

「なんでだよ!!緑は俺のことが好きなんだろ。だったら、俺のそばにこないと駄目じゃんか!!」

一体どいつがこんな奴好きになんだか。あぁ、後ろの奴らか。なっとく〜。

「私は別に君のことは好きじゃないんだけど。私にはちゃんと恋人がいるしね。それに、目上の人と話すときは敬語。それに呼び捨てはしない。何度も言ってるはずだが?」

「な、なんでそんなこと言うんだよ!!」

当たり前のこといってるだけじゃん。

「理事長。そろそろ.....」

後ろから風紀副委員長が声をかけてきた。

「そうだね。本来なら食事を楽しむための食堂ではやりたくなかったんだけどね。仕方無い」

そろそろか.....。始まる、断罪の時間が。

「えー。それでは今ここで、臨時集会を行いたいと思います。皆さん生徒はなぜ、私がここにいるのかわかる人もいればわからない人もいると思います。それ以前に私のことを知らない人もいるかもしれませんね」

食堂のど真ん中で臨時集会をすると言ったのは俺の恋人であり、そしてこの学園の.....

「なので、軽く挨拶だけしておきましょう。私はこの学園の理事長です」

そう、理事長だ。この学園の最高権力者。そして、楠木柚木の叔父でもある。

理事長は基本表舞台には出てこないから知らない生徒がいても不思議じゃない。むしろ覚えてる方が少ないだろう。だって、彼がこうやって生徒の前に姿を現すのは2回目だし。入学式以降1回も出てきてないんだから。

「では、私の挨拶も終わったことですし、本題に入りましょう。風紀副委員長、お願いします」

そう、今日この日わざわざ臨時集会をひらいたのには理由がある。

「はい。今日、臨時集会をひらいた理由は生徒会の会計以外をリコールするためです」

「はぁ?なんでだよ」
「そうですよ。意味がわかりません」
「僕たちが」「リコール?」
「「意味わかんなーい」」
「.....意味.......わかん...ない...........」

口々に文句をいうのは生徒会の面子だ。

「あたりまえでしょう。仕事もろくにしない。遊び呆けて転校生のケツ追っかけ回して。じゃあ、逆になんでリコールされないと思ったんですか」

普段あんまり感情を表に出さない副委員長が怒ってる。あそこまで副委員長が怒ってるのなんて初めてじゃないか?どんだけだよ。生徒会。って言ってる俺も生徒会役員なんだけどね。

「なあ、なんでこいつらがリコールされないといけないんだよ!!それに、なんで筑摩だけ違うんだよ!!」

あ〜あ。あいつ馬鹿だなぁ。黙ってればいいのに。

「楠木柚木。それはさっきも言ったはずです。生徒会が仕事もせずに職権を乱用しているからです。そして、なぜ筑摩君がリコールされないのかは彼だけが真面目に仕事をしていたからです」

「でも、みんなはちゃんと仕事してるって言ってたぞ!!」

「なら、なんで今日の午前の授業をでずに遊んでいたのですか?仕事はいつしているのですか?」

「わ、私達は.....そう、帰った後部屋でやっているんですよ」
「そ、そうだ」
「ぼ、僕も」「そ、そうだよ」
「.......そう.......帰った...後.........」

「帰った後楠木柚木の部屋で遊んでいるのに?」

「そ、それは.....」

「それに、仕事をしているならなんで会計以外の人の書類が提出されないのですか?」

副委員長の鋭い指摘にとうとう無言になったあいつら。

よかった。仕事真面目にやってて。副委員長は敵にまわしちゃいけないな。委員長よりも怖い。さすが真のボスと恐れられてるだけはある。

「でも!でも!!そんなのおかしい!!」

「何がおかしいのですか?楠木柚木」

「だって、こいつら今までなりたくもないのに役員にさせられて頑張って仕事してきて、なのに少しハメをはずしただけでリコールだなんてさいてーだ!!」

まるで.....

「偽善ですね」

全くだ。そんな子供の正義が通用するのは小学生までだ。

「それなら、役員に選ばれた時に断ればよかっただけ。それに、彼等が少しハメをはずしただけといいますがそれは責任を放棄したということです。責任を放棄したくせに職権だけ乱用して、それはおかしくはないのですか?挙句の果てに責任は放棄したくせにリコールされることには文句をいうのですか?」

全くその通りだね。副委員長の言い分は正しいと思う。確かに仕事はきつかったけどみんな頑張ってやってきた。なのにそんな自分自身をうらぎったのはまた、自分だ。

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