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「千羽 翔。それをして俺にメリットはあるのか?」
答えはもちろん決まっている。だが、千羽 翔の答え次第で返答はいくらでも変わる。俺はただ、楽しければなんでもいいんだ。
『第一にまず、あなたのいじめがなくなります。次にあなたをいじめに追い込んだ相手に僕が個人的に2つほど怨みがあります。だから相手、――清 和泉――を一回絞めないと気がすまない。そして最後に、あなたと僕の“暇潰し”になります』
なるほどね。第一の理由だけだったら即断ってたけど自分の復讐の為に俺を利用するなんて面白いじゃねぇか。しかも、本人にそのことを言うなんて。しかも、最後の理由が暇潰しか。ほんとにこいつは俺の扱い方を心得てる。
なんて、最悪な暇潰し(ゲーム)だ。
「で? 復讐内容は?」
ルールがないとつまんねぇからな。どんなゲームでもやってやるよ。
『やってくれるんですね。そういうと思ってましたよ。もう、ゲーム内容は決めてるんです。……今まで通りだとあなたがいつも簡単にクリアしてしまってつまらないし暇潰しにもならないので今回は趣向を変えてみようと思ったんですよ』
趣向を変えた……ねぇ。いつも通りだったら楽なんだけどな。まぁ、確かに俺がすぐに終わらせるから暇潰しどころの問題じゃないんだが。
「ふ〜ん。で?」
『内容はあいつ、清 和泉とおなじことをすればいいだけですよ』
おなじこと? あいつがしたこと……転校、暴力、俺という平凡を巻き込む、器物損害、人様に迷惑かける、親衛隊から敵視される、後は……この学園で人気どころを全員おとす。
「それってまさか……」
『はい。あなたの学園の人気どころを全員まとめておとしてあいつを孤立させてあげてください』
俺が? 誰を? あいつらを?
「くくっ。いいぜ。一回承けた話だ。ちゃんと遂行してやるよ。今回は今回で愉しそうだ。で、おまえは電話で報告を聞くのか?」
『いんや、』
この口調……。真面目から一気に戻りやがった。ぜってぇ、ろくなこと考えてねぇな。
『今回は俺も現地に赴くよ。今回は本当にぷっちんときてるからね』
「来るって。まさかここに?」
『そ! 紫鳳峰学園に。明日には来るから待っててね』
待っててねじゃねぇよ。聞いてねぇぞ。
「いや、いい。おまえは来なくていい」
『なんでそんなに否定するのさ。猫ちゃん。俺かなしい』
電話越しで泣き真似なんてされてもな……。
「だっておまえ、きたら絶対めんどくせぇよ」
『そんなひどいわ、ダーリン。あなたと私のなかじゃない』
「きもちわる。消えろ。いや、もうむしろしね」
『ひっど! まぁ、いいや。俺がそっちに行くのはもう決定事項だし。待っててな。猫ちゃん。いや、……柊 琥珀。情報屋』
「……もうきるぞ」
――ツーツーツーツー――
返事も聞かずにきる。そしてそのまま携帯電話をポケットにいれる。
それにしても、情報屋……か。俺が情報屋を始めた訳じゃなくて俺の能力で次第と集まってくる情報を売ってただけなんだけどな。
ん? これって情報屋の仕事か?
にしても、今では情報屋としても..........としても有名になっちまったな。それに昔は……。あぁ、駄目だな。ちょっと思い出に浸りすぎた。いやなもんまで思い出しちまった。けど、俺にもまだそんな感傷に浸れるぐらいの感情が残ってたんだな。
「………寝るか」
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