09:喫茶店「クインズ」 3 / 8 「星尾さん、定期だよね?どこまで?」 「うん、空港前まで」 「星尾そんな遠くから来てんの?俺寝るわそれ」 「始発なんで朝絶対座れるんですよ」 そんなやり取りをしながら私たちは電車に乗り込む。 時間が学生の帰宅時間だからか席は空いてなくて吊革を掴んで声を抑えながら会話をする。 しばらくして降りるように指定されたのは以前登くんが降りた駅だ。 改札を通って出ると少しだけ田舎なそこの景色が目に入る。 「さっさと行こうぜ」 そういって赤羽先輩が歩き出す。 それについていく。 空はまだまだ明るい。夏ってすごい。 しばらくして赤羽先輩が足を止めた店の前で私も倣うように足を止めた。 顔を上げる。 店名は“クインズ”というらしい。 ≪≪prev しおりを挟む back |