01:夢心地 4 / 10 「ごめんな」 ボーカルの人は苦笑して私にそういった。 私の方が悪いんだけどなぁ。 頭をもう1度下げて階段を上がっていく。 ボーカルの先輩。 ギターの先輩。 あと、2組の灰葉くんと、もう1人。 4人のバンド「フェアリーテイル」 彼らが今年の学校祭オープニングのバンドをつとめ、見事に盛り上がった。 それは音楽に疎い私の心にも響くほど素晴らしくて、衝撃的で。 心をガッと掴まれたんだ。 「真麻ー、ジュースとおつりー」 「ありがとー……ってか、美幸大丈夫?」 「腕、どうしたの?」 腕を見るとそこは赤く染まっていた。 あ、痣になってる。強く掴まれたからかな。 「大丈夫」 「一応保健室行ってきたら?ついていこうか!」 真麻にそう言われて首をひねる。 大丈夫なんだけどなぁ。 行くまでうるさそうだな、真麻って「女の子は〜」って偶にうるさいんだよね。 ≪≪prev しおりを挟む back |