07:音に溺れたお姫様 5 / 11 魅せられては魅入って。 まるで依存物のように、逃げられない中毒性。 「……私ちょっと行ってくる!」 真麻にそう告げてライブハウスから出る。 出演者が出てくるであろう扉の方に向かっていけば、丁度彼らが出てきた。 私に気がついた香月くんが犬のように近付いてくる。 「美幸ちゃん!来てくれてありがとー、もっと前で聞いてくれれば俺もーっと頑張ったのにぃ」 「もーっと頑張ったのにぃ、じゃねぇ!てめぇ1曲目強く叩きすぎだボケ!」 「いいじゃん、結果オーライだったっぽいしさ」 「あんなぁ、登てめぇ2曲目モロ前奏音外したよな?それも結果オーライか?」 「すいませんでした」 ステージの上と変わらず、彼らは楽しそうにやり取りをする。 何て言えばいい。 お疲れ様? チケットありがとう? ≪≪prev しおりを挟む back |