06:甘えん坊な灰被り 9 / 10 「おら、用済んだなら出てけ、香月練習するぞ」 赤羽先輩にしっしと手で払われて、邪魔しちゃいけないと思いすぐに視聴覚室を出た。 教室に戻って、真麻に教科書を返すと直接返ってこなかったことに残念そうに笑う。 「あ、真麻これ」 「何これ?」 一応声のボリュームを下げて伝えた方がいいかな。 「フェアリーテイルのライブのチケットだって。香月くんが真麻に教科書のお礼って」 「本当に!?」 私の言葉を聞くなり真麻はチケットを凝視した。 そんなに凝視しなくても内容は変わらないから安心してゆっくり見なさいよ。 一緒に行こうと伝えると、真麻は首を何度も大きく縦に振った。首痛そう。 ≪≪prev しおりを挟む back |