05:世話焼きマーメイド 1 / 7 「美幸ちゃーん!」 明るい少年が手を上げて教室に現れた。 黄色い声が上がると共に、女子の怖い視線が私に向けられる。 香月くんが楽しそうな表情で私を見て手を振っていた。 あぁやめて、しんでしまいます。 女子が怖いから! 「……っ、何々、灰葉くん」 「えっ、何で名字……」 「いいから!」 名前で呼んだらそれこそ殺されてしまいます!状態なの! 見ろ!女子の視線を!既にやばい。あれは厄介者を排除する目だ。 「あんねぇ、いいことあるから!まだ決定してないけどたぶん大丈夫だから決まったら教える!」 にしし、と嬉しそうに香月くんは笑う。 曖昧すぎるけど……それは決まってから教えてくれてもいいのでは? 何もこんな人がいっぱいいる目立つところで教えてくれなくても、いいのでは? 香月くんはじゃあねと手を振りながら姿を消した。 ≪≪prev しおりを挟む back |