04:狼さんは赤ずきん 10 / 11 「どっちも素敵だと思います」 はっきりと、そういえば。 彼らは首を傾ける。 香月くんが、しばらく間をあけて笑い出した。 「わかってるよー、どの楽器もないと音が寂しくなるからね」 ちらりと赤羽先輩を見て楽しそうに笑う。 「はにわちゃん、からかうの楽しいんだもん」 「てめぇ」 「怒んないでよー怖いなぁ!」 自分を守るように香月くんは手を赤羽先輩の前へとやった。 「……もう少し、いてもいいですか?」 ただ、音を聞いていたくて。 そんなことを問いかけると魚住先輩が笑って肯定してくれた。 「何だ、ベースに惚れたか?ならもっと弾いてやるよ」 赤羽先輩が嬉しそうにベースに触る。 「じゃあ、お願いします!」 楽しそうな赤羽先輩を見ながら私は、彼が可愛いなだなんて頬を緩めた。 ≪≪prev しおりを挟む back |