04:狼さんは赤ずきん 7 / 11 赤羽先輩のことだったらしい。 香月くんのセンスは私には難しいようだ。 ギター……ではなくてベースだっけ、を手にした赤羽先輩は私を見た。 「登、ギター軽く弾いてみろ」 「んぁ?曲何?」 「何でもいいわ、今練習してんのでいい」 じゃあ、と登くんが笑顔を浮かべながらギターを弾く。 ゆっくりしたテンポの曲がつっかかりもなく綺麗に流れた。 うん、綺麗な音。 ギターの音が止む。 「で、こっちがベース音」 先ほどのギターとは違う、重みのある低音が私の耳に届いた。 あ、違う。 音が全然違うんだ。 ≪≪prev しおりを挟む back |