25:ぜーんぶ、おれのもの 2 / 10 4時間目の授業のプリントを提出するだけのはずだ。今日は国語だから、いつも日直にプリントを集めさせるはず。 待ってるね! と香月くんはにっかり笑って、履き潰した上履きをぱたぱたと鳴らしながらトイレの方へと走っていった。 それを見送って、女子たちの痛い視線に気付かないふりをして教室へと向かう。 授業なんて身に入らない。 と、言っても元々勉強は好きな方ではないから、頭に入る方ではないのだけれど。 身に入らないまま時間は過ぎて、昼休み。 やっぱり先生は日直にプリントを集めるように言って出ていった。 さっさと集めて皆の所に行こう。 そんなことを考えて席を立つと、放送委員の声がスピーカーから流れた。 コンペの曲を流していきます、と淡々と全校生徒に伝える。 わぁ、もう始めるのか。 皆お弁当を出しながら周りの人と会話しつつもスピーカーに注意を向けているようだ。 私も早く日直の仕事をやってしまおう。 1曲目が終わる前になんとか。 最初に流れたのは「edge」の曲だ。バンド名の紹介の後に曲がすぐに流れる。 思わず、手を止めた。 ≪≪prev しおりを挟む back |