23:弱虫騎士と悪役少女 1 / 7

 
 大人げもなく子供みたいに泣いて……高校生はまだまだ子供だろうから、いいのだろうか。
 少しだけ落ち着いた私を見て弥生先輩は笑って「昼からだけど学校行くか」とゆっくりとしたモーションで立ち上がり、私の手を引いた。

 少し前に、後にした駅へ舞い戻り、何事もなかったかのように電車に乗り込む。


 慣れない時間に、見慣れた景色を流し見ながら校内へと足を踏み入れる。


「美幸ちゃん! 大丈夫!?」

 学校に着くなり香月くんがそう駆け寄ってきた。玄関にいるなんて、タイミングの良い。

「香月くん。うん、大丈夫だよ」


 私がそう言うと、弥生先輩は深い息を吐き出して伸びをし、香月くんを見た。

「じゃあ俺は行くわ」
「ありがとうございました!」

 私がお礼を言うと、弥生先輩はにっかり笑って階段を上がっていく。

「……はにわちゃんとお昼登校なんてぇー」

 ぶすり。
 不満げな顔を浮かべた香月くんがそう呟いた。

「連絡したのになぁ」


 そう言われて、スマホを覗く。
 わぁ、本当だ。たくさんのメッセージが入ってる。心配するような内容だ。昨日のことを……弥生先輩か登くんに聞いたのだろうか。

 朝から教室にいなかったから、と香月くんがスマホを見せてきた。弥生先輩から「今から美幸と学校行くわ」なんてメッセージが入っていた。なるほどこれで玄関にいたのか。いつのまに連絡していたのやら。


「教室行こっ。護衛しますよお姫様!」


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