22:泣いてもいいよ 3 / 6 「海ですね」 「海だな」 会話らしい会話もせずに、弥生先輩は気にせず砂の上に座り込む。 「汚れますよ」 「いんだよ、砂くれぇ」 いいのか、そうか。 砂くらい叩き落とせばいいのか。 だからと言って座るのを躊躇った私は弥生先輩の隣にしゃがんだ。 海って。青春みたいだ。夕方のイメージだけど。 穏やかな波の音が繰り返される。 平日の朝なんて海に来る人はいないのか、静かだった。 もう少し暖かいと最高だったんだけど。 「ここはなぁ、だだっ広い海だ」 「見れば分かりますよ」 街は少し離れていて、遠く感じる。 ここだけ切り離された空間のような感覚。 ≪≪prev しおりを挟む back |