22:泣いてもいいよ 2 / 6 「何ですか」と問いかけると同時に腕を引っ張られ、降りたこともない駅で降りてしまう羽目になった。 先輩は定期をかざして改札の向こう側へと行ってしまう。 「遅刻、しますよ」 「もう遅刻だから変わんねーべ」 「補導されます」 「少しだから大丈夫」 改札を挟んで向こう側。 先輩は優しく笑って、手招きをしていた。 「おいで」 優しく、そう言って。 諦めたような表情を私は浮かべて、改札を出る。 「何処へ行くんですか?」 先輩に手を引かれて歩き出すが、慣れていない土地でよく分からない。 ここら辺、何かあるのかな。 「とーひこう」 先輩は笑って、そう言った。 ―― ― … しばらく歩いて、ついた場所は海だった。 こんな所に海なんてあったのか。 ≪≪prev しおりを挟む back |