19:これを恋だと呼ばずして、 11 / 12 「全部、嘘……?」 「嘘じゃないよ」 登くんの笑顔は、悪戯なものじゃなくて、優しくて。 「俺は星尾さんが好きだよ」 目を細めて、そう言った。 「どうにかしてくれないと、他の人にも騙されそうで俺が困るの。分かる?」 わかんないよ。 わかりません。 登くんが私を好きだなんて、そんな。 「香月にも、弥生にも、こーめーにも……俺にも。好きでもない奴に、簡単にここ許しちゃ駄目だよ、お馬鹿さん」 寂しそうに、笑って。そっと親指で私の唇をなぞった。 ≪≪prev しおりを挟む back |