02:御伽噺とお弁当 6 / 8 魚住先輩の手には、大きな弁当。 重箱か、あれ。 みんなで同じ重箱をつついているというのか、仲良しか。 「おっしゃー、いただきまーす」 弁当をでかでかと広げて赤羽先輩が手を合わせて嬉しそうに割り箸を割った。 魚住先輩に割り箸を渡されて素直に受け取る。 申し訳ないとは思う、思うさ。 ……でもこんなに美味しそうな弁当を広げられて、他の人が美味しそうに頬張っているのを見せられて遠慮しろというのが無理じゃないだろうか!? 「い、いただきます!」 箸で玉子焼を摘まんで口に放り込む。 焼き具合が絶妙な甘い玉子焼の味が口に広がった。 何だこれ美味しい。 「……これ魚住先輩が作ったんですか?」 「ん?おー、そうだよ」 見栄えも良いし女子力高い。女子の私より女子力高い。世の中不公平だ。 ≪≪prev しおりを挟む back |