17:透き通る寂しい歌を 6 / 6

 子供たちは楽しそうに笑う、歌う。
 家族を失い、家族に捨てられたらしい過去を持っている子供たちが笑えているのはいい事だなぁと眺めてみた。
 私は家族と普通に暮らしているけれど、失ったら絶対に辛いものだから、こんな小さな子たちはとても辛い思いをしてきたのだろう。


 騒がしい中、登くんが外を眺めながら歌を歌っていたことに気が付いた。
 みんなと同じテンポで、だけれど混じろうとしないような小声で歌う登くんの声は優しくて綺麗で、だけどどこか寂しげだった。

 後ろにいた私が見ていたことに気付いた彼はゆっくりと口元で弧を描く。


「星尾さん、どしたの?」
「飲み物、何かいる?」
「ううん」


 彼は首を横に振って、笑ってみせた。


「何かあった? ……辛いこと、とか」

 私の言葉に、登くんは静かに答える。


「何で?」
「歌、寂しそうだったから」
「……最近ちょっと疲れてるだけ、だよ」

 登くんは笑ってそう告げる。
 私は「そっか」なんて追求もせずに呟いた。


 登くんが歌っていたサビの前は、届かない人を一途に想う歌詞だった。





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