17:透き通る寂しい歌を 4 / 6 あ、どんぐりころころだ。童謡なんて最近聞いてなかったから懐かしく感じる。 歌が始まる演奏の場面に達して、登くんが口を開いた。 「登くん、歌上手いね」 「ねー、こーめーちゃんと比べれば劣るんだろうけど、のんちゃんも上手いんだよねー」 手本だからだろうか、あまり感情がこもっていない感じがするけれど、音程は外していない。 1番が日本語、2番を英語で歌っていた。わぁ、こっちも英語含めてるのか、それはそうかチェルシーちゃんがいるのだから。 子供たちは日本語オンリーで歌うのだろうけれど。 見本が終わって、弥生先輩の合図を聞いて歌が始まる。 子供たちが元気に歌い始めた。幼稚園とかを思い出すなぁ。 チェルシーちゃんは口をぎゅっと噤んだままうつむき続けていた。香月くんが近付くも口を開こうとしない。大丈夫だろうか。 どんぐりころころが終わって2曲目のVegaに移る。 普通の邦楽だから子供には難しいんじゃないかな、そんなことないのかな。 登くんがまた歌う。 あ、次は感情がこもっている。やっぱり童謡だったからあまり感情込められなかったのかな。 バラードとかが似合いそうな、透き通った優しい声だ。 お手本が終わり、子供たちが歌う番になった。 やっぱりチェルシーちゃんは、歌おうとはしなくて。 ここはあの時に弥生先輩が作った歌詞をチェルシーちゃんがみんなと一緒に歌う場面だ。 なのに、さっきと同じように少女は俯いたまま動こうとしない。 ≪≪prev しおりを挟む back |