17:透き通る寂しい歌を 3 / 6

「俺ぇ、何しに来たんだっけ?」
「歌」

 弥生先輩の一言で「あぁー」と思い出したように声を上げる。
 ……大丈夫だろうか。

 香月くんはそんな様子も気にもとめず、子供たちと楽しそうに遊び始めている。仲良くなるの早いな本当に。

「はい注目ー、言ってた通りお歌の会やるぞー」

 お歌の会。ちょっと弥生先輩が言うと面白い。お歌。
 弥生先輩の言葉に子供たちが弥生先輩と登くんの立っている場所……ピアノの近くにわらわらと近付いては床に座っていく。
 香月くんも座ったので、私も端っこの方に座ってみた。

 チェルシーちゃんは私と反対側の端っこ、みんなと少し離れた位置に座っている。


「今日は前に言ってた『どんぐりころころ』と『Vega』歌うからな。あと笑いたそうにしてるでけぇ餓鬼はあとでぶっ飛ばす」
「「ごめんなさい」」


 声を発すると同時に同じ言葉を香月くんが並べていた。
 やっぱり思うよね、なんて目配せしてまた笑う。おっと、弥生先輩が怖い。


「今日は広明くんいないのー?」
「そう、いないの。代わりに登が見本歌ってくれっから」


 子供の言葉に弥生先輩が反応する。
 魚住先輩もいつも来ているのだろうか「お歌の会」に。


 弥生先輩が学校のものより少しだけ小さめのピアノに近付いて椅子に座る。
 登くんに何だか指示を出して伴奏を始めた。


≪≪prev




しおりを挟む
back




「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -