17:透き通る寂しい歌を 2 / 6 香月くんは口元を抑えながら笑ってそう言った。 そういう間にも登くんの顔の上の座布団タワーは段々と大きくなっていく。 少年少女はニコニコと、真剣に、様々な表情で座布団タワーの周りに立って更新記録を図っているようだった。 「登ぅ、死ぬぞお前……」 弥生先輩のそんな言葉にも呼ばれた当人も反応しない。 息できてる? そもそもまだ生きてる? 「あっ」 1人の男の子が焦ったように声を上げた刹那、座布団タワーはばらばらと崩れていった。バランスを崩したらしい。 周りからあーあーと残念そうな声が飛び交った。 弥生先輩が登くんに近付いてしゃがみこみ、頬をぐにりと引っ張った。 「おい登起きろ。つーかよく起きねぇなお前それ」 「ん、ぐ……あれぇ……帰ってきてたの……」 「少し前にな。毎回人んちで爆睡すんな、完全にチビ共の玩具にされてんぞ」 「眠いんだもん……あぇ、星尾さん、香月、おはよ」 起きたようで登くんは体を起こす。 目を擦って、体を左右に揺らしていてまだ眠いらしい。 弥生先輩の呆れた表情にへにゃりと笑いかけていた。 ≪≪prev しおりを挟む back |