17:透き通る寂しい歌を 1 / 6 「ただいまー」 弥生先輩のその言葉に、ばたばたと騒がしい程の足音が響いてくる。 現れたのは様々な年齢の子供たちだった。 「弥生にーちゃんおかえりー!」 「おう。登は?」 弥生先輩の言葉に子供たちがにっぱり笑う。可愛らしい笑顔だ。 登くんはどうやら先に来ているらしい。 少年たちを見るなりチェルシーちゃんはこそりと香月くんの後ろに隠れた。 「座布団積みしてるよぉ!!」 ……座布団積み? 私たちは首を傾けて、それを見た男の子が弥生先輩の手を引っ張った。 「俺たちもお邪魔しまーす!」 香月くんのそれに倣って私も「お邪魔します」と口にして部屋の中へと入っていく。 中に入った途端、香月くんの明るい笑い声が大きな大きな部屋の中に響き渡る。 部屋にいた子供たちが香月くんに「しー!」と人差し指を口の前に立てて非難した。 私の視界に入ったのは、人の顔に座布団が積み上げられていく様子だった。 恐らく、いや確実に、座布団の下にいるのは登くんだ。 「なんで起きないの! なんで起きないの!」 ≪≪prev しおりを挟む back |