c:アンチラフメーカー 8 / 9 「頑張ったね」 俺は何もしてないのに。 何も出来なかったからいじめの対象になってたのに。 頑張ってなんか、いないのに。 「学校でも、何かあったら頼ってもいいからね。俺は君の味方だから」 あぁ、馬鹿だなぁ。 魚住さん、馬鹿みたいにお人好しだ。 ―― ― … 「ちょっとセンパイのとこ行ってくんね!」 次の日の学校。 昼休みになるなり、立ち上がっては魚住さんのところに遊びに行こうなんて走り出す。 赤い人いたら、逃げたこと謝ろうとか思って。魚住さんの友達だもん、悪い人じゃないはず。 見慣れた後ろ姿を見つけて、段々と近付いていく。 飛びついて、にっこりと笑ってみせた。 「こーめーちゃんっ!」 「こーめーちゃん!? ……あ、香月くんか、どしたの?」 「三国志の策士かよ」 ≪≪prev しおりを挟む back |