b:アンチフレンド 7 / 7

「おい待て話は終わってねぇぞ」

 にっこり。悪魔みたいな笑いだ。

「オトモダチを利用して逃げたクソ野郎共も、献身的な優等生クンを疑ったセンセーも、てめぇらまとめてこいつに土下座しろや」


 赤羽も相当お人好しだと思うんですが、それは一体どうなんですかね?





――






「ごめん」

 俺の言葉に赤羽は黙ってこちらを見た。

 否定的だった所とか。
 不良だと思ってた所とか。

 結局俺も、あいつらと同じ。
 損得で人を選んでたようなものじゃないか。


「ごめん、赤羽」

 再び言葉にすると「うっぜぇ!」と赤羽に蹴りを入れられる。

「いってぇ!?」
「ありがとう、だろうが!」

 怒ったような顔をした赤羽の言葉に、きょとりと俺は目を丸くした。
 子供に言うみたいな言葉に、思わず笑いが溢れた。

「ふふ、ありがと」
「友達助けて何が悪ぃってんだバーカ!」

 友達、友達か。
 こんな俺でも友達なんて、言ってくれんの。

 きっと俺の言っていた友達とは違う、損得なんか関係無しに付き合える人間のことなんだろうな。

 そんな人間に、入れてくれんだ。


「疲れた時にはよしかかってもいーんだぜ」


 やっぱり赤羽は、お人好しなんだろうなぁ。


 前を歩く少年の名前を呼ぶ。
 振り向いた彼に、笑いかけた。


「ありがと、ヒーロー」

 俺の言葉に、赤羽は笑う。

「お安い御用だぜ、健全な市民さんよ」


 赤いパーカーを着た赤羽は、何だか昔好きだった戦隊モノのヒーローに見えた。
 こんな奴なら、一緒にバンドとかやってみても楽しいのかもしれないな。





[アンチフレンド:fin]

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