b:アンチフレンド 3 / 7

 時計はもうすぐで授業が始まることを告げている。


「大して一緒にもいず、飯も一緒に食わず、都合の良い時だけ『ノート貸して』と一方的に頼り切ってる奴が、友達」

 なぁ、それさ。と赤羽が俺を見上げる。
 真っ直ぐとした鋭い切れ目が俺を貫く。



「友達って言えんの」



「は?」
「都合のいい人の間違いじゃねぇの」

 笑う、笑う。馬鹿にしたような笑みを俺に向ける。

「一方的によしかかられても重くててめぇが潰れるだけだぜ?」

 その笑みは、まるで。
 可哀想なものを見るものだ。


「なんっ……」

 タイミングを見計らったように、チャイムが鳴る。
 赤羽は時計を見てから「じゃ」と言って自分の席へと戻っていった。

 ……どうして俺は、怒鳴ろうとしたのだろうか。

 真実を言われて頭に血がのぼったなんて、そんなはずはない。





――






 昼休みになって、教師に呼ばれる。
 ノートを集めといてくれ、だなんて言って。

 そういうの、まずクラス委員に頼むようなことなんじゃないですか。
 そんなことはこれっぽっちも言えずに了承の言葉だけを吐き出す。


「あぁ、あと屋上の鍵、閉めといてくれないか?」


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