a:アンチコンタクト 7 / 8 「俺は、すごいと思うよ」 「……」 「同情とか、皮肉とかじゃなくて。こんなに暑いのに上着着て耐えて、寂しいのに人に迷惑かけないように1人でいて」 ……いや、迷惑かけないようにかどうかは知らんけど。寂しいのかも、分からねぇけれど。 そんな難しくて辛いこと、俺出来ないもん。 施設のみんなとわいわいやるの楽しいし、1人でいるとか無理。 「そんな、ちゃんとした理由じゃないよ。怖いの、人に迷惑かけて嫌がられることが怖いの。人と関わるの、怖い」 ぽつりと。 本音が漏らされて。 なんだ、こいつも普通の人間だって。 変な奴じゃないなって、思った。 「なぁ、俺と友達になろ。そしてゆくゆくはバンドメンバーに……」 「やだって」 「俺、お前が倒れても運べるくらいムキムキになってやるから、なっ!」 嫌とか思わねぇよ。 それなら施設の子どもたちのおむつ替えやらされるほうが何倍も何十倍も嫌だわ。 ≪≪prev しおりを挟む back |