a:アンチコンタクト 3 / 8

 真っ直ぐと向けられた視線に目を逸らしたくなった。
 よく分かんねぇけど、そいつの目は黒い宝石みたいだった。


「……そこ俺の席なんだけど」
「あ、ごめぇん。ここ、太陽当たらなくてぽかぽかしてていいなって」


 へにゃりと間延びした声が聞こえる。
 聞き慣れない声だ。新鮮。

 喋るのが嫌ってわけじゃないのか。
 その声は人懐こい口調で、普通にしてたら普通に友達できるんじゃねぇのかとか、思った。
 何でいつも1人でいるんだろ。


「太陽当たってっけど」
「え、」


 そいつは目をぱちぱちする。
 日の当たってたその手は、赤く腫れたようになっていた。


「うわ、なんだそれ!」
「あぅ、やっちゃった……日に当たり過ぎた」


 日に当たりすぎたらそうなるのか、怖いな俺も気をつけよう。

「保健室行くか!?」
「うーん、大丈夫、ただの軽い日光アレルギーだから」


 日光アレルギーなんてあんのか。
 よくわかんないけど、大変そうだ。


「雪代、音楽好きなの」
「え……あ、うん」

 雪代はヘッドホンを両手で持ちながら目を逸らして答える。
 そっか、音楽好きなのか。そうなのか。ふぅん。


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